No.264 お茶にしませんか
街に新茶の文字が見られるようになりました。
爽やかな季節を感じる言葉です。
私の一日は、淹れたての緑茶一杯で始まります。
眠くてボンヤリしている身体も淹れたてのお茶でスイッチ オン。
家では川根の雁ヶ音を愛飲してます。
お湯を急須に注ぐときのサワサワサワという音、
淹れたお茶を湯呑みに入れる時のトクトクトクという音が、一日のスタートです。
いつ聞いても柔らかく、いい音だなと思います。
雁ヶ音は玉露などの茎茶。母はとてもおいしい雁ヶ音を淹れ、
いつも足元にも及ばないなと思います。
○○茶を○○gといわれ、おつかいにいっていた子どもの頃は、
遠い昔になってしまいました。
何度か足を運んだ川根は、大井川鉄道の両脇の山の急斜面に茶畑があります。
山あいの小さな土地は寒暖差が激しく、
深蒸し煎茶に代表される繊細なお茶ができるのも納得。
雁ヶ音の新茶は5月下旬からヘタをすると6月上旬になることもあり、
今年も心待ちにしています。
以前、掛川に住んでいた娘がいうには、この時期は普段真っ暗な茶畑の中の、
製茶所の灯りが夜を徹してこうこうと灯っているそうです。
さて、実家がある京都は宇治茶の本場。
まだ学生の頃、父に連れられ三山木という山奥の知人宅を訪ねました。
三山木は今では同志社大の学生マンションが増えているということですが、
ここも又、山あいの小さな土地に茶畑がびっしりでした。
そのお宅で、「ようこそ、こんな山奥まで」と淹れてくださった玉露。
これがお茶?と鮮烈な印象でした。茶畑が見える開け放した縁側に続くお部屋で、
心を込めて淹れてくださった玉露は、甘くて、丸くて、円やか。
こんな山奥からうちまでお越しいただいていたのかと、
その家の小さなおばさんの姿とともに忘れられないものになりました。
さて、店でお出ししているお茶は伊勢ほうじ茶。シェフと二人で、
三重県の入道ヶ岳に登り、帰りに麓の椿大社の売店でお土産のお茶を買い求めました。
これが食中茶としてはすごくおいしいほうじ茶だったので、
ラベルを頼りに鈴鹿の水沢地区の茶畑の中にあるお茶屋さんを訪ねました。
もちろん再び入道ヶ岳へも登り、この時はすごく天気のいい日で、
遠く長島温泉の観覧車まで見渡せたことも思い出です。
私が気になるのは、抹茶を使ったお菓子などがたくさん出回り、
ペットボトルのお茶も様々な種類があるなか、
肝心のお茶を淹れる人が意外に少ないのでは、ということです。
水出しやペットボトルで簡便に済ますこともできるけど、
ぜひ、サワサワ、トクトクという音を実感してみて下さい。
学生スタッフのT君は一人暮らしの今も自分でお茶を淹れてます。
彼の実家は掛川茶と川根茶に挟まれた菊川茶の産地で、
地元のお茶に並みなみならぬ愛着があるようです。
お茶好き同士で、最近の私の気がかりを話してみると、
「やはり、小さい時から、お茶を淹れて飲んでるかどうかですよね」との答え。
皆さんここらでお茶にしませんか?
サワサワ、トクトク、忙しくてもゆったりとした時間が待ってます。
長年愛用している、我が家の土瓶。 これで1Lはいる。
昨年旅行したシルクロードでも同じようなやかんを使っていました。
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