No.372 珍味バチコ
八寸の中に盛り付けてあった、三角の揚げせんべいのようなもの。
実はこれが珍味中の珍味バチ子(クチコとも言う)であることがわかり、
シェフのボルテージが一気に上昇。
みんなはなにげになく、
紅白のあられをまぶした魚味のせんべいぐらいに思って食べてしまったけど、
さすがシェフ。聞いたことはあるが見るのも食べるのも始めてと、大変喜んでました。
調べて見ると、バチ子(クチコ)はナマコの卵巣を1月~3月の産卵期に取りだし、
何枚か張り合わせて、吊して乾燥させたものだそうです。
大きさにもよるけど、1枚作るのにナマコ10数キロ、20~30匹使うとのこと。
雫が垂れ易いように下を絞って三角にした形が三味線のバチに似ていることから、
バチ子と呼ばれています。手間ひまかかるので、安いものではなさそうです。
さすがに石川出身のスタッフは知っていました。
小さくさいて、さっとあぶって食するのだそうです。
噛んでみると、磯の香りがして、、じわじわと旨味が広がるおいしいものでした。
ちなみに、ナマコはそのまま輪切りにして三杯酢で、
また内臓は「このわた」としてこれまた珍味。
そして卵巣のバチ子と、日本酒とは切っても切れないもののようです。
試しに出入りの魚屋さんに聞いてみると、
「あっ、今入っているよ。明日持って来てあげようか」と。
翌日、ちょうどワインとつまみのご予約があったので、
さっそく珍味バチ子が登場することになりました。
翌日入ったバチ子は地元、師崎(もろざき)産。
10センチくらいの小ぶりのものですが、結構厚みがありました。
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