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2016年11月14日 (月)

No.562 トリュフがきたその1……灰の下のトリュフ

11月6日にシェフが楽しみにしていたトリュフが、

イタリアからはるばる到着。

11月8日に岩手県盛岡市からフランス滞在歴の長いK夫妻が、

これまたはるばるご来店。

シェフが考え抜いたトリュフ料理の数々と温存していたワインを開けての、

私たちとK夫妻との食事会は思い出深いものになりました。

中でもシェフの思い入れが深かった伝説の料理、

「トリュフ ス ラ サンドル」(灰の下のトリュフ)。

話はシェフがフランス勉学中に、

やはりフランスへサーヴィス・スタッフの勉強に来ていた友人が、

「トリュフ料理の中でも、トリュフ ス ラ サンドルが一番なんだよね。

なんともいえない甘みが出るんだ。」

という言葉を聞いた約40年前にさかのぼります。

当時でも料理本の中にはその名前が出ていても、

メニューではお目にかかったことがなく、

その友人も含め、誰も食べたことがなかった料理だそうです。

それ以来シェフの胸の中でずっと灰の中の火がくすぶり続けていた

「トリュフ ス ラ サンドル」を再現したいと、

トリュフが来ることになった日から、研究を重ねていました。

到着した黒トリュフは約60g、赤ちゃんのこぶし大くらいでした。

S006

豚肉の背脂を薄くそいで、汚れを落としたトリュフをその脂でくるみ、

アルミ箔で包んで炭火で熱せられた灰の中に入れて待つこと、45分。

S018

S037

とろとろに溶けてピカッと光る脂身の中から、

よくしまってピカピカ光る黒トリュフが現れました。

S039

料理の手順自体は単純ではあるけれど、

今や作られることがないという物語性と灰の中から現れるという意外性に、

みんなうっとり。

S044

切ってみると甘い香りが漂い、

口にしてみると、甘み、苦み、

ピリッとした辛み(調味料として入れたこしょうか)、

そして脂身から出る旨みがトリュフに染みこみ

酸味以外のすべての味がぎゅーと凝縮された味わいでした。

さすがに伝説の料理と言われるだけのことはあると思わず唸りました。

このお料理にはイタリアのワイン「ルーチェ1996」が華を添えてくれました。

S050

トスカーナの土着品種のサンジョベーゼにメルローを合わせた、

ス-パー・タスカン(トスカーナのスーパー・ワイン)の「ルーチェ」が

誕生してまだ間もない1996年もの。

20年も前のワインなのに軽やかで、はつらつとして、

まだ若々しい雰囲気のこのワインが、

滋見深いトリュフ料理に華々しい味わいで応えてくれました。

伝説の料理の再現の成功を喜び、

浅野屋をオープンして間もないころに入手した1本を飲みながら、

思い出話に花が咲きました。



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