No.674 思い出のトリュフショコラ
バレンタインデーが近づき、チョコレートの季節です。
日本にいながら、世界各国の珍しいチョコレートが食べられる時代。
デパートの広告を見ては、あれこれいいなあと思いながらも、
一粒350円以上もするチョコレートは高いなあと、ため息です。
だいたい、鈍感な男子にこの繊細な食べ物、パッケージが理解できるか、疑問です。
最近はもっぱら女性が女性のための楽しみとして、
チョコレートが進化しているような気がします。
ところで、今をさかのぼること、30数年前。
まだ結婚していなかった頃にシェフが私の家に来たとき、
お土産に手作りのトリュフショコラを持ってきてくれました。
当時は、バレンタインデーのプレゼントは始まっていたものの、
今のような多彩なチョコレートはまだなかった。
板チョコや、せいぜいアメリカのハーシーやアーモンドロックしか知らないところへ、
いきなり、粉がついた(ココアをまぶした)まん丸のチョコレート。
しかも中は柔らかい! それは衝撃でした。
一口食べて母と顔を見合せたのを思い出します。
勿論結婚前の青年だったシェフの株はアップです。
それから数年後、結婚した私を待っていたのは、あのトリュフショコラ作りでした。
まさか、自分で作ることになるとは、思いもよらなかったこと。
シェフに教わり、見ようみまねで、たどたどしく手を動かしたことが懐かしいです。
温度管理が難しいチョコレート作り。
でも、一番難しいのは、心のコントロールと思いました。
時間がなく焦っていたりすると必ず失敗して、表面が白くなったり。
そんな中で今もシェフとの語り草になっているのは、
「チェリーボンボン」です。
さくらんぼの季節に軸の付いたさくらんぼをブランデーに漬け、
半年以上漬けたものを
砂糖を飴炊きにしてから大理石の上で結晶化させたフォンダンにくるみ、
さらにチョコレートでくるむ、本格派です。
フォンダンが溶けて、さくらんぼがブランデー風味のシロップに包まれるのに、
何日もかかります。
今となっては幻の、まさに手の込んだ一品でした。
それから30数年、日本のチョコレートはどんどん進化したけど、
たどたどしく作っていた、あの頃の温もりは忘れられません。
本物のチョコではなく、ハートのリースを手作りしました。
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