No.962 心安らぐ山の香り
はや、12月も間近。
店内に飾るお花をクリスマス仕様で、新しく作りました。
新栄の名古屋園芸は他店にはない草花や、
切り花が売っていて、いつも心踊る場。
並んでいる寄せ植えやアレンジ花、リースなどを見ながら、
作りたいもののイメージを膨らませます。
素敵な枝振りのねずの木を見つけたので、
ねずの木を中心に杉などを飾ることにしました。
長女もスワッグに挑戦したいと言うので、
他にも何本かの花を選び、枝振りをよく見ながら、
花切り鋏を入れます。
緊張の一瞬。切ったらもう元には戻すことができないから。
私はねずの木を中心に杉をくるくる巻くことにし、
娘は杉を台にして、瑠璃玉あざみなどを添えて、
真ん中にねずの小さな一枝を挿しました。
パチン、パチンと鋏を入れていくと、
なんともかぐわしい香りに包まれてきました。
これは本物の森の香り。以前よく行った、山の匂いです。
「すごいね。木は生きてるね」と会話しながら1時間足らずで、
それぞれ、思い思いのものを作りました。
娘は初挑戦ながら、小学校で少し習ったペーパーフラワーのワイヤー止めを
覚えていたといい、彼女らしい、センスの一束を完成させました。
よく見ると、切ったねずの木の切り口から樹液が沁み出て、
そこからの芳香が強く出ています。
ねずの木は西洋名をジュニパーベリー。そう、ジンの香り付けの材料。
新宿のバー、ベンフェディックのオーナー鹿山氏が、
国産のジュニパーベリーを求めて、滋賀まで出向き、
国内では希少な、ねずの木をご自身の山でも増やしたい旨を読んだのは、いつのことか。
なるほど、人を魅了する、素敵な香りです。
部屋いっぱいの山の香りに包まれて、
私たちは、心豊かな一時を過ごさせてもらいました。
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