No.1043 娘から母へ
子どもの頃は、食事の度に、自家製のぬか漬けが出てきました。
ぬか漬け担当は、同居していた叔母の役目。
隣家との境の細い通路のような日陰に、大きな漬物樽があり、
大きな石が乗ってました。
叔母が、毎日、糠を掻き混ぜ、世話をしてくれてましたが、
年をとり、いよいよ石が持てなくなって、漬物樽は終了。
その後は即席漬け器が登場したりしたこともあったけど、
買ってきた漬物を食べるようになってきたのかな?
いつ頃まで、やってたのかな?
どこの家庭でもやっていたぬか漬けも、
高度成長期以降は見かけなくなった気がします。
いつのまにか漬物は買ってきたものを食べるようになったのは、
我が家だけでは無かったと思います。
ともあれ、漬物(つけもん)は、子どもの頃からの大好物。
中でも、うりの糠漬けが大好きでした。
名古屋へ来てからは、うり漬けは醤油漬けで、
ぬか漬けは無く、寂しい思いをしてました。
店もあり、忙しくて、自分で作るぬか漬けはあきらめていました。
そうしたら、娘がやりたいと言いだし、
「毎日掻き混ぜ無くてはいけないし、大変よ」と言う私にはお構いなく、
小さなチャック袋に入ったキットで、
冷蔵庫保存で一人用ぬか漬けをさっさと始めました。
その後、掻き混ぜにくいと、12cm四方程の小さなホーロー容器に変わり、
冷蔵庫でせっせとキュウリやかぶを浸けてます。
時々いただくと、やっぱり美味しい。
それに冷蔵庫なので、できない日は掻き混ぜてもないけど、
なんとかなってる。
いいなあ、って思って見ていたけど、
この夏、娘からホーロー容器の糠漬けを譲り受け継ぎました。
普通、逆。母から娘へなんだけど。まあ、いいでしょ。
小さいことと、冷蔵庫保存がミソのようです。
とにかく、手軽なんです。
さっそく、キュウリ、茄子、そして瓜などを、
容器の大きさに合わせて短めに切って、
私の好みで、少し深漬けにしています。
娘は浅漬け派だったので。
漬物は古くから野菜保存のために色々と作られてきたけれど、
ぬか漬けは意外に江戸以降とか。
白米が広く食べられるようになってからだと言うことです。
ご飯に切り立ての野菜の塩気、酸味、糠のほのかな甘味。
食欲が落ちる日本の夏を凌ぐには、無くてはならないもの。
先人の知恵に脱帽です。
自家製のぬか漬けの贅沢がこの夏に彩りを沿えてくれました。
買ったものでは味わえない、穏やかで、優しい味わいに、
心をほぐされています。
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