日記・コラム・つぶやき

2019年9月17日 (火)

No.792 帰ってきたOさん

16日祭日も臨時休業をいただき失礼しました。

ご予約貸し切り営業で、エスカルゴのハーブ風味や

ハムや砂肝のコンフィなどワインを楽しんでいただくメニューの数々にお客様も完食目指して、

お食事とお話しを楽しんでいらっしゃいました。

ところで、土日のランチ営業に懐かしいお顔を見つけました。

以前の店舗へいつもハヤシライスを食べにいらしていたOさんです。

お父様が亡くなられるまで、ほぼ毎日、おじいさんお二人で、

(失礼、息子さんもおじいさんに見えたので)11時半の開店と同時に、

決まったお席でハヤシライスを召し上がってらっしゃいました。

まだ、お客様もまばらな店内にスプーンでハヤシライスをすくう「カツカツカツ」という音が響き、

大きな窓から柔らかな光が差し込んでいたことを思い出します。

食べ終わると、ニコニコしながら、さっさとお帰りになっていました。

お父様には息子さんとご一緒に好きなものを召し上がる、一番の楽しみのお時間とお聞きしていました。

お父様が亡くなられた後は、息子さんは、その息子さんといらしていました。

新店舗になってからはお見かけしていませんでしたが、ついに発見していただいたようです。

Oさんも「私も身体はぼろぼろ」と言いながら、とても喜んで下さり、発見以来、日参です。

変わらぬ味を、変わらぬ心で、愛して下さるお客様がいらっしゃること、

私たちもとてもうれしい再会でした。

 

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2019年8月30日 (金)

No.788  不思議な生き物 母親

8月は最終の木曜日28日もお休みをいただき、

台風で臨時休業した15日も含め、結局5回あった木曜日のうち、

営業したのは1回だけというほぼ週休3日の浅野屋でした。

暑いし、アルバイトも手薄で年々無理が効かなくなっています。ご容赦ください。

私は火曜、水曜と昨年男の子を産んだ娘のところへお孫ちゃんの顔を見に行って来ました。

5ヶ月ぶりに顔を見たけれど、

あのふにゃふにゃだった赤ちゃんが両方の足でしっかりと大地に立ち、

何でもモグモグ食べる様に驚き。一年でこんなにも大きくなるんだったっけ?

あいにく一家そろって風邪を引き、お医者さん通い。

そして、2日ともすごい雨降りだったので、家でのんびり過ごすことになりました。

のんびりといっても、こうなると私の血が騒ぎ、お風呂を磨き、ガス台を磨き、

あちこち気になるところの掃除をしてきました。

毎日、10キロ超の息子を抱えては、ふーっふーっ言ってる娘には恵みの助け船。

一息つけば娘と色々な話しをして「久しぶりにお母さんとゆっくり話せて嬉しかった」と

娘にとってはしばしの休息タイムにリフレッシュできたようでした。

考えてみれば、母親とは不思議な生き物だと思います。

うちは二人の娘がそれぞれに不登校経験者。決してスムーズな子育てではなかったし、

成長した子どもたちからは、時に辛辣な子育て中への指摘もあり、

「あーあ、親って損な役だなあ」と思うことも。

それでも、一生懸命大切に大切に育ててきたつもり。振り返る時間は懐かしく、

私にとってはその時できるベストを探しながらの子育ては、大切な経験でした。

娘のところを後にして、少しだけ、自分の母親の顔も見てきました。

今度は私のリフレッシュタイム。母親って不思議だなと思います。

もうすぐ95歳になるシェフのお母さんがこの頃、

おかしくなるの。この二つのお乳をあの人が吸ってたんだよ」と言って笑います。

70歳近くなった息子を前に、95歳になってもやはり母親。

つくづく母親とは不思議な生き物だと思います。

 

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2019年8月22日 (木)

No.787 見上げてごらん 夜の星を

すっかりご無沙汰の浅野屋奥さんです。

日々の暮らしに追われて、目下の目標は、どうすれば早く眠れるか? です。忙しいのは、お客様が途切れることなく、お越しいただけていること、ありがたいことです。

梅雨が長引いた今年、出勤や帰宅時間、またお客様がいらっしゃる時間に雨が降るか、降らないか、スマホの雨雲レーダーをずいぶん見ました。かなりの精度で予測できるので、雨に打たれることも少なかったと思います。

気がつくと、「お天気どうかな?」と空を見上げることが少なくなったなー。雨の匂い。雲の移り変わり、朝夕の日の長さ、スマホも便利だけれど、自分の感覚も大切にしないとな、と思うこの頃です。

ブログもぼちぼち再開します。これからもよろしくお願いします。

2019年8月 9日 (金)

No. 786 静かに

昨年にも負けない暑い日が続いています。

8月6日、8月9日、8月15日

この暑さとともに、日本人には忘れてはいけない日だと思います。私はこの3日間は静かに過ごす日だと思っています。間にはさまった7日は父の命日です。家族そろって仏前でお勤めをしました。そろってできることが、ありがたかったです。

愛知トリエンナーレの初っぱなから問題になった「表現の不自由展」。もちろん来場者に何かあればいけないので中止の判断もやむを得なかったのかも。でも、74年前の日本人は皆、命をかけての覚悟をいつも迫られていたことでしょう。表現がいともたやすくなった、今、その覚悟はどこへ行ったのか?結局、表現したいことの底の浅さを突きつけられた思いが残りました。ここからの深まりはあるのか?

8月8日は立秋。お店は臨時休業させていただきましたが、ケータリングがあり、その後、シェフはタルタルソースやカレーの仕込み。私は野菜の冷製の仕込みと、帰宅はいつもの時間になりました。

夜になってもむわっと暑かったけれど、帰宅した私の頭の上でぐるぐる、ブンブン羽音が。電気をつけると大きなトンボが一緒に入ってきました。パニックに成ったようで、洗面台の中をぐるぐる回っているところを捕まえ、外へ。

季節は秋を迎える準備をしているのですね。

2019年7月14日 (日)

No.782 いのち

スッキリとした家の庭では、いつもにもまして、ギボシが美しい葉を広げ、

楚そとした花も今が盛りです。

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と、よく見ると、花の先に蝉の脱け殻が。

こんなところで、7年間土の中で耐えた蝉が誕生したんだ!

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八百屋さんからもらったユリ根は、あっという間に30センチ程の草丈になり、

小さなつぼみもつけています。ものみな生きるエネルギーに溢れる夏がすぐそこに。

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2019年7月10日 (水)

No.780 ああ、思い込み

池下の古川美術館で、高北幸矢インスタレーション「落花、未終景」を見る。

数日前に高北先生がお食事にいらして、「見に来て来てー」とのこと。

先生は次女の通っていた芸大で教鞭を取っていらっしゃり、そのご縁で浅野屋へもお越しいただいています。

5月から始まった展覧会も終盤。夏に向かうこの時期なぜ椿?と思っていましたが、

高北先生の椿への執念はそんな思いを吹き飛ばすものでした。

どれ程の時間をかけ、彫られたのか、おびただしい花。

また、捨てられるだけの木の板に「これを先生として」、

「木目や節が教えてくれる」と描いたもの。

その場限りのインスタレーションの面白さを引き出してくれる為三郎記念館の建物と相まって、

迫力のある展示でした。

お庭の見える呈茶席でお抹茶を頂きました。

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梅雨空に苔が美しく、その緑の中にも、心憎く、真っ赤な椿がちりばめられています。

偶然隣り合わせた御老体は芸大で日本画の教鞭を取ってらしたS先生。

先生は4月の終わり頃にこの場所を借りて写生をさせてもらったとのこと。

美しい景色をご一緒に眺めさせてもらっていると、

「実は今、気が付いたんだが、建物の板が市松になっている。

板を裏表、交互にはめて凝っている。その時には気づかず、真っ直ぐに書いてしまった。」と。

「でも良くご覧になってお書きになったんでは?」と私が言うと、

「見たつもり。思い込みは恐ろしいね」と静かに話されました。

大家の口から出た思わぬ言葉に背筋が伸びました。

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その後、古川美術館本館で「風景の会 絵画展」を見ました。

ありました。私の写真とほぼ同じような構図のS先生の絵には板塀は真っ直ぐに描かれていました。柔らかな線とタッチで描かれた優しく穏やかな絵です。

先生の心中やいかに。私にも忘れられない一言になりました。

ジャンルを越えて愛知の風景を描いた本館もとても見応えがありましたよ。


高北幸矢インスタレーション「落花、未終景」 為三郎記念館 7月15日まで

風景の会絵画展 古川美術館 7月15日まで

 

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2019年6月11日 (火)

No.774 驚異の生命力

じゃがいもを取ろうと、自宅の野菜置き場に手を伸ばし、驚きました。

じゃがいもの前に置いてあったパック入りのユリ根から芽が出てるではありませんか。

立派な芽が3本、パックを突き破っています。

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すっかり忘れていたけれど、八百屋さんがくれたんだった。

3週間くらい前かな。おが屑に入ったユリ根は1片づつ外して掃除をしなくちゃいけなくて、

中々出来ないでいました。甘く炊いて玉子閉じにしたり、

店では、ポタージュにもしたこともあり、ほくほくした優しい甘味が大好きです。

このユリ根の収穫には6年かかると以前テレビで見たことがありました。

種子からタネ球に育てるまでに3年。それを春に畑に植えて、秋になったら掘り起こして、保存。

そして、春に畑に戻して…を繰り返し、6年目の夏にやっとついたつぼみを夏の炎天下にすべて手折り,

地下の球根に栄養を回して,その秋、やっと収穫ということです。

気が遠くなる作業を経て、届けられています。パックについた値札には申し訳ない気がします。

ちなみにユリ根の産地は99%北海道だそうです。

ガーデナーさんには、増やさないように言われているけれど、

せっかく芽が出たので鉢に植えて様子を見て見ようかな? それにしても驚異の生命力です。

驚異の生命力と言えば、先日、93歳の義母が背中の古傷をかき破り、

下着やシーツに鮮血が染みでて驚きでした。

手当てをしたので大事には至らなかったなかったけれど、

古老の体内にも鮮血が巡っていることに驚きでした。当たり前のことだけれど、ね。

2019年6月 6日 (木)

No.772  人、人、人の熱田祭り

名古屋に夏の訪れを告げる熱田神宮の熱田祭り。ちょうど定休日と重なったので出かけてみました。

名古屋に住んで30数年になるけれど、案外行っていないところも多く、

お祭りとなると土日営業の私たちにには、縁遠いものです。

今回は幻想的な献灯巻き藁を楽しみに出かけました。家からは遠い熱田さん。

友人の結婚式に行ったのは何十年前かな?

夕方に到着後、しばらくは人出もそんなではなかったので、ゆっくり屋台を見てまわる。

お目当ては近頃話題の韓国のチーズ入りホットドッグというのか、チーズハットグ。

どこのお店がチーズが大きいかな?じっくり見て行ったり来たり。

ちょっと甘い皮にトローリチーズでおいしかったです。たませんも初めて食べました。

1枚づつ目玉焼きを焼いていて、熱々でやさしい味わい。

屋台もインスタの映えする、盛り付けのきれいなものばかりで、目移りします。その数250とか。

変わったものは冷凍ミカンと称して、缶詰のミカン缶を凍らせていたり。(けっこう売れています)

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だんだん人出が増えて来ました。一つづつろうそくにご神灯を灯して巻き藁を積み上げていました。

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中には燃えて落ちる場面も。

夕闇にやさしい光が揺れて、美しい献灯巻き藁。

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その後花火を少し見て帰る予定が、地下鉄の駅まで人、人、人で全く身動きが取れない。

行く人、来る人、ごちゃ混ぜで、動いたり、止まったり。命の危険を感じる程でした。

大混雑は20分以上続き、やっと地下鉄のエレベーターに乗ったときには、

同乗の見知らぬおじさんと共に「ハーッ」と顔を見合せ、笑えました。

熱田祭り参戦でした。

 

2019年6月 2日 (日)

No.771 不思議なマツバラン

家の庭の話にもう少しお付き合いを。

一つだけ残した南天の鉢の足元に、ガーデナーさんがシャカシャカ寄せ植えしていたのは、

てっきりリストラされると思っていた、謎の草。

以前の浅野屋の広い玄関先に置いていた南天の鉢には、美しい苔が生え、

少しずつ広がっていくのをシェフが、愛でていました。いつの頃からか、

その苔の間からスギノコのようなものが伸びてきて、10cm程に育った頃には、苔はすっかり消えてしまいました。

そのスギノコのようなものは「マツバラン」という植物だと教えていただきました。

「珍しいものですよ。どなたかをお好きな方が植えられたのでは?残しておきましょう。」と。

誰も植えた覚えはないけれど…。さっそくマツバランを調べてみると。

茎だけで根も葉も持たないシダの仲間。どこからか、飛来した胞子が、

植物や菌類から栄養をもらって成長し、胞子体を形成する、とあります。

なるほど、苔から栄養をもらっていた訳か。今では、苔は無くなり、マツバランが10本程に増えました。

そして驚くことに「準絶滅危惧種」と書いてあります。

あの車が一日中往来する広小路のどこからか飛来して、苔や南天の鉢の棲みかが気にいったのか、

そんな珍しいものが身近にあったなんて。シェフと「抜かなくて良かったね」と顔を見合せました。

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そして、ガーデナーさんの手により、南天の足元にツワブキやナルコと一緒にきれいな寄せ植えになりましたよ。

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2019年5月30日 (木)

No.770 ささやかな日常 その2

庭の手入れの後は30度以上の猛暑日が続き、

根を下ろしたばかりの植物が根付くかホースでチョロチョロ水をやりながら気をもんでいました。

日中ぐったりしている葉っぱも夜、帰宅するとしゃんとしている様を見て、やれやれと思う日々。

そんな折、私の休日の朝に飛び込んできたニュースは川崎の通り魔事件。

庭のささやかな日常どころではないニュースにブログアップも気が引けてしまってました。

少し前には、大津で保育園児のお散歩の列に車が突っ込む事故。

その都度幼い命を守るための大人の方々の懸命の努力が報じられました。

今まで以上にピリピリと神経を使い、息が詰まりそうな気配。

がしかし、どちらの事故もどんなに注意していても、巻き込まれています。

通勤、通学の方々には、いつものささやかな日常のひとこまの時間。

それは大津の事故の車を運転していた女性も同じだったのでは。

私と同年配の彼女らは、いつものコースをいつものように走行していたでしょう。

加害者となった彼女たちにとっても少し前まではささやかな日常だったはず。

ささやかな日常はとんでもなく危ういところに成り立っていて、

なんとか無事に過ごせているのだなあ。日常と非日常は薄紙一重。

私にもそんな非日常がいつ起こっても不思議ではない日々をうかうか過ごしているのだなと知らされます。

庭をさわっていたら思わぬ珍客が家の中へ。

素早く動く影の正体が分からず不安でしたが、

充電器のスイッチを入れようとすると壁の物陰にヤモリが張り付いていました。

娘と二人がかりで、ホウキで家の外へ追い出してやれやれ。

ヤモリにしてみれば、いきなり煌々とした家に飛び込んで来て仰天しただろうけど、

本来の棲みかへ、日常に戻れて良かった良かった。

子どもの頃に実家の常夜灯に夏になると現れるヤモリの影が気味悪かったことを思い出しました。

大津や川崎での被害の方々には簡単に戻ってこない日常と向き合う日々が続くと思います。

私は自分が立ってるところに今一度目を向ける時間をいただきました。

 

 

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